柏崎刈羽原発“再稼働の判断”最終局面へ 30キロ圏内「まだ早い」の声も【報道ステーション】(2025年11月14日)

福島第一原発の事故以来、運転停止が続く東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働に踏み切るのか、重要な局面を迎えています。新潟県の花角知事は今月中にも自身の判断を示す見通しで、14日に現地を訪れ、事故を想定した対応などを視察しました。

■作られる電力は…首都圏のため

東京電力・柏崎刈羽原発では、まるで14年前の福島の事故を思い出すような、外部電源喪失を想定した訓練が行われました。見つめるのは新潟県の花角知事。

新潟県 花角英世知事
(Q.視察で再稼働に問題がないと評価)
「そんな簡単なものではない。私自身の目で拝見して、肌で感じる中で判断していきたい」

世界でも最大級の規模を誇る柏崎刈羽原発。2012年に運転が停止するまで、ここで作られた電力は福島第一と同じように首都圏に送られてきました。2017年に再稼働の審査には合格しましたが、IDカードの不正利用など問題が相次ぎ、事実上の“運転禁止命令”。その後、命令は解除されましたが、いまだ再稼働には至っていません。カギを握っているのが花角知事です。

新潟県 花角英世知事
「県民の意思を確認したい」
(Q.県民の意思の確認方法は)
「決めているものはありません」
(Q.知事選や住民投票は)
「これから考えていく話」

再稼働に向けて最後の要件となっている“地元の同意”。地元とは、原発が立地する柏崎市と刈羽村、そして新潟県、この3者を指すとされています。このうち、立地する2つの自治体は、すでに再稼働「容認」の姿勢を示していて、ボールは花角知事のもとにあります。ただ、どのようにして県民の意思を問うのかは明らかにしておらず、宙ぶらりんの状態が続いていました。

■地域住民は毎月議論を重ねる

柏崎の駅前。かつては原発関係者でにぎわっていました。

大越健介キャスター
「新潟育ちの私としては、柏崎はかなり大きな街のイメージだが、平日の昼間ということもあり、メインストリートですが人通りが少ない印象です」

地元では、原発の安全性を監視する地域の会が20年以上前から毎月、開かれています。地元の経済団体から反原発団体まで、様々な立場の市民が意見を交わしてきました。

大越健介キャスター
「人々の暮らしが活性化するためにも、この原子力発電所が稼働することの意味は小さくないという考えか?」

地域の会 品田善司会長
「大きいと思います。人の流れは大事だと思いますので、その辺が活発になればと考えています」

大越健介キャスター
「東京電力の態度が変わってきたのか、評価できるものはあるか?」

地域の会 竹内英子副会長
「一時期は東京電力自体が柏崎刈羽原発を理解できていない、把握しきれていないのではないかと懸念をすごく感じていた時期があった。東京電力は一生懸命はやっているとは思いますが、原発自体動かすのは無理だと。ただ国はそれを許してくれない。やめるとは言えないなかで、今の状態になっているのかなと」

もし再稼働となれば、重大事故を起こした東電の原発では初めて。小早川社長はその必要性を強調します。

東京電力 小早川智明社長
「電力の安定供給面・価格面も含めて、原子力が重要な電源だと思っています」

■30キロ圏内「まだ早い」の声も

前のめりの背景にあるもう1つの理由が、過去最大の最終赤字を出した東電の経営状態です。福島第一の事故処理費用が膨らみ続けるなか、柏崎刈羽の原発1基を稼働することで1000億円の収支改善につながるとされています。

再稼働へ向けた最終局面。しかし、ここへ来て地元の定義に“待った”が。

長岡市 磯田達伸市長
「特に長岡市は30キロ圏内に24万人の人口があって、リスクを受ける自治体であります」

原発で事故が起きた際、屋内退避や避難などの計画が必要とされるのが、原発から半径30キロのUPZ(避難準備区域)と呼ばれるエリアです。柏崎刈羽原発の周辺では、立地自治体を除くと7つの市や町が該当します。なかでも最大の人口を抱えるのが長岡市です。

2011年、福島第一原発の事故の際も、住民全員が避難を余儀なくされたのは、立地する大熊・双葉だけではありませんでした。そして、14年が経った今も広範囲に帰還困難区域が残っています。

原発の視察後、花角知事は30キロ圏の自治体トップ7人と面会しました。会談は非公開でしたが、長岡市長は県が実施したアンケートをもとに注文をつけました。

長岡市 磯田達伸市長
「6割ぐらいの方が『まだちょっと早いじゃないか』と。十分条件が整っていないというふうな意思表明をしている段階では、判断をするタイミングとしてはちょっと今まだ早いんじゃないかと」

一方、原発が立地する柏崎市と刈羽村は、知事に決断を迫っています。

柏崎市 櫻井雅浩市長
「早くご決断をいただきたいというふうなことを申し上げたところ」

刈羽村 品田宏夫村長
「それは信を得て信任された知事として、政治家・花角さんが政治決断をすることです。それにとやかく口を挟みません」

新潟県 花角英世知事
(Q.長岡市・磯田市長から「時間をかけるべき」と)
「これから判断をしていきます」
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp

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