感染拡大の要因は“ペット”と“高温”?マダニが媒介「SFTS=重症熱性血小板減少症候群」とは【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG

これまで西日本が中心に広がっていた、マダニが媒介する感染症「SFTS=重症熱性血小板減少症候群」。今年に入り、北海道や関東など全国に拡大しています。

■全国に拡大中 マダニによる感染症 “SFTS” とは?

井上貴博キャスター:
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、SFTSウイルスを保有しているマダニに刺されることにより発症する感染症で、致死率が30%とも言われています。主な症状は、発熱・おう吐・腹痛・下痢などです。

【北海道での初感染・60代男性】
・7月30日に発熱・頭痛などの症状
・道外・海外への遠出なし

【神奈川県での初感染・60代女性】
・6月28日に発熱の症状
・自宅周辺で畑仕事・草むしりなどで感染か

今回「SFTS」のニュースの起点として、「場所が変わってきた」ということがあります。

これまでの感染は、主に西日本でした。しかし、北海道・秋田県・茨城県・神奈川県・岐阜県と感染が全国に拡大しています。

なぜ、西日本が感染の中心だったのが、全国に広がったのでしょうか。

■SFTS なぜ全国に感染拡大?

井上キャスター:
元々、マダニは全国で生息しています。気温が25℃以上になると活発化し、涼しい環境では活動が鈍いと言われており、東北地方や北海道ではマダニの活動は、比較的活発にはなりませんでした。

ヤマザキ動物看護大学の長島孝行教授は、「全国的に高温だったため、マダニの活動が活発になったのではないか。さらにSFTSの感染地域の拡大の可能性もある」と話しています。

様々な生き物にも寄生して感染症は広がるので、全国各地への感染拡大も時間の問題だそうです。

高齢者は特に重症化リスクが高いと言われていますが、どういったことに気をつければいいのでしょうか。

■SFTSの感染経路は? 実はペットにも感染リスクが…

井上キャスター:
SFTSはペットにも感染します。そしてネコが特に発症事例が多いんです。

【2024年SFTS発症数】
ネコ:194件
イヌ:12件
(SFTS診断ネットワーク収集データより)

ネコに限って見ると、致死率が約6割というデータも出ています。

【感染経路】
▼マダニからペットに感染
山や林、公園などでペットがマダニに噛まれる

▼ペットからペットに感染
唾液・粘膜などの接触

ペットから人間に感染する場合はどのようなケースがあるのでしょうか。

2025年5月、三重県の高齢の男性獣医師が呼吸器困難などの症状が出てから、SFTS感染の疑いで死亡しました。男性獣医師は、SFTSに感染したネコを治療しており、そこから感染した可能性が高いと言われています。

ペットから人への感染リスクは、口などの粘膜周辺や、傷口を舐められることです。ペットがSFTSに感染していると、舐められることにより感染するリスクがあるそうです。

■インフルやコロナと見分けがつかない… マダニ感染症治療の難しさ

「SFTS」の他にもマダニが媒介する感染症は他にもあります。

▼日本紅斑熱:熱・倦怠感・発疹
▼ツツガ虫病:熱・倦怠感・発疹
▼ライム病:熱・倦怠感・輪状の発疹

すべて治療薬はあるそうですが、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授によると、「SFTSは季節性インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症と見分けがつかないため、診断が難しい」とのこと。

また、確定診断まで1週間程度かかってしまうので、その中で対処療法しかないという難しさがあるようです。

では、どう対策をすればいいのか?

(1)腕・足・首など、肌の露出をなるべく減らして身を守る
(2)虫除けスプレー(成分:ディート、イカリジン)を使用する。マダニにも効果あり
(3)ペットは家に帰ったらブラッシング・シャンプー

ペットは、屋外で毛をなでて振り払うだけでも、ある程度マダニが離れる効果があると言われています。

マダニ自体は生存力が強く、1か月に1回吸血するだけで生きていけます。さらに、涼しい状態になると、数か月血を吸わなくても生きていけるという厄介なものなので、どう向き合っていくのか考えなくてはいけません。

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